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COVID-19 アドホック分析 (4)

2020年 6月 19日公開
ニルセン 大河 (Taiga Nielsen@NTT DATA)
白水 淳 (Jun Shiromizu@NTT DATA)

本連載ではCOVID-19を題材に、バラエティデータをアドホックに取り込んで分析する「データ統合」の方法論を示します。

(4) コード体系の標準化クレンジング

前回は、ジョンズ・ホプキンス大学が開示しているCOVID-19関連データのクレンジングの一環で、「途中で変更されたカラム名(JSONプロパティ名)」をNoSQLデータベース上で標準化しました。今回も引き続き、DBデータをクレンジングしていきます。

クレンジング2:日付フォーマットを標準化

DBデータの実際の値をサンプリングしながら確認していくと、Last_Updateという項目の表記の揺らぎが気になりました。この項目は日付時刻型のデータなのですが、その文字列表現として以下の3種類が混在していることが分かったのです。

  • 2020-03-27 22:14:55
  • 2020-02-05T12:13:04
  • 3/22/20 23:45

1つ目と2つ目はよく似ていますが、日付と時刻の間に「T」が含まれているかどうかで異なります。

このLast_Updateという項目は「各国の感染者数/死亡者数/回復者数」といったデータについて「いつ時点の」という分析軸を与えるもので、非常に重要です。表記が揺らいでいると困るのでこれをYYYY-MM-DD形式で標準化することにしました。Last_Updateの値を書き換えてもよいのですが、今回はLast_Updateの値は触らずそのままに、新たにPeriodというJSONプロパティを追加してみることにします。

例えば、加工前のDBデータは以下のようになっています。

これを、以下の通り、Periodを追加する形で加工しようというものです。

前回の連載同様、NoSQLデータベース内で以下の処理を実行することで、標準化された日付項目を追加しました。

クレンジング3:国と地域を標準化

続いて、「どの国の」感染者数/死亡者数/回復者数なのかを示すCountry_Regionという項目に着目し、どんな値が含まれているのか、DBデータを調べてみました。

これで取得した「国/地域」の値を見てみると、いくつか課題が見つかりました。

「国/地域」の表記の揺らぎを確認

まず、同じ国/地域なのに表記が異なる例です。

  • RussiaRussian Federation
  • United KingdomUK
  • Cabo VerdeCape Verde
  • Viet NamVietnam
  • GuernseyChannel Islands

中国の特別行政区(Special Administrative Region)も、表記揺らぎが見られます。

  • Hong KongHong Kong SAR
  • MacaoMacao SAR

国名に「Republic」が付くか否かの揺らぎも多く見られました。

  • IrelandRepublic of Ireland
  • CzechiaCzech Republic
  • MoldovaRepublic of Moldova
  • IranIran (Islamic Republic of)
  • Korea, SouthRepublic of KoreaSouth Korea

同様に、国名に「The」が付くか、どこに付くかでの揺らぎも見られます。

  • BahamasBahamas, TheThe Bahamas
  • GambiaGambia, TheThe Gambia

「国/地域名」欄に「クルーズ船の名前」が出てくるのも、このデータセットの大きな特徴でしょう

  • Cruise Ship
  • Diamond Princess
  • MS Zaandam

どのような事情があったのか不明ですが、「その他」としか扱えない何らかの事情があったのだろうと思われる「国/地域名」もありました。

  • Others

国/地域の標準コード体系を設定

ジョンズ・ホプキンス大学のデータの中でも表記が揺れていますし、今後 他のデータセットと組み合わせていくことも考えると、このタイミングでコード体系を正しく整えた方がよいと考えました。

国/地域のコードとしては、ISO3166-1のコード体系を利用することにしました。Country_Regionの値は変えることなく、新たにCountryCodeという項目を追加するようにしています。

上述の例だと、以下の通り末尾にCountryCodeという値が付与されるイメージです。

これは、NoSQLデータベース内で以下の処理を実行することで実現しました。

30~34行目に読替辞書を作っています(本稿では省略していますが、実際はずっと長いです)。これによってRussiaRussian Federationも等しくRUとして表現されるようになります。また、Diamond PrincessのようなISOの国コードに変換不能な値は、いったんそのままCountryCodeにしています。

まとめ:新たな項目(カラム)をどんどん追加していく

今回も、前回同様「DBに格納してから段階的にクレンジングしていく」という、スキーマレスDBの柔軟性が発揮される方法論を見てきました。

特に今回は、Period とかCountryCodeという新規の項目を段階的に追加している点に注目してください。これは、RDBでいうと、テーブルに対してどんどんカラムを追加していくイメージです。こういうことをシステム停止などせずに手軽にできるのは、スキーマレスなNoSQLデータベースの大きな特徴です。

また今回の「国/地域」の標準化は、ISOで定められた既存のコード体系を流用することで、手間を省くことができました。当然、他のデータセットとの結合しやすさも視野にいれています。

次回は、ここまでのデータを使っていよいよ「国別の感染者数等の時系列比較」の折れ線グラフを描画していきます。

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